ビラ研究会とは

前期課程代表より

 主に駒場で配られるビラを集めて、研究することが目的のサークルです。しかし、歴史がとても浅く、まだ具体的な活動内容は決まっていません。例えば、2012年はビラの収集・整理・批評・創作、古いビラの鑑賞、昔の印刷用機具との触れ合いなどをしました。活動内容が具体的に決まっていないので、やりたいことができます。


 平成24年度終了時点での会員は4人です。活動は最低週1回ですが、曜日は適当に決まっています。場所は学生会館のロビーで、出たくないときは出なくても構いません。


小坂 (理科1類1年)>

ビラ研究会会長より

 ビラ研究会(ビラ研)は、まだ1年余りの歴史しか持たないサークルで、今までの活動には試行錯誤の部分が多くありました。ここではビラ研究会の紹介ということで、自分なりに一筆まとめようとしたのですが、まとめきれず長くなってしまいました。以下、紹介にしては長すぎる文章が続きますので、暇のあるときにでもお読みいただければと思います。


 「メディア」と聞いて、あなたはまず何を思い浮かべるでしょうか。人によって、「テレビ」「ネット」「新聞」など様々な答えが返ってきそうです。近年では、「一方通行」のマスメディアから「双方向」のネット・SNSへ、などといった流れも指摘されていますし、「Twitter」「Facebook」といった名前を挙げる方もいるかもしれません。また、メディアの「媒体」という元々の意味で考えれば、町内会の回覧板や電話といったものも「メディア」でしょう。
 ところで、広い意味でのメディアに該当しながら、通常そのイメージからは抜け落ちているものがあります。それが「ビラ」あるいは「チラシ」です。とりあえず、これらをまとめて「ビラ」ということにしましょう。メディアの中でもビラは、今まであまり「メディア」としての見られ方、つまり情報伝達の内容やデザインの仕方といった観点からの研究がなされてこなかったように思われます。

 キャンパスでは、内容の面でもデザインの面でも、実に様々なビラを見ることができます。東大には300以上のサークルがあり、これらが日々活動を行っていることを考えれば、これは驚くにはあたらないでしょう。しかし通常、ビラのデザインはあまり深く考慮されず、配る枚数の方が重視され、内容面でも印刷の質の面でも適当さの目立つものが見られます。
 ビラ研の活動の方向性として、一つにはこうした状況の改善を考えることができます。手数料なしで代行印刷を行い、学生用印刷機の性能を最大限引き出した印刷を行おうとするのは、この方向の活動に入ります。2012年度にも制作したビラを駒場祭で展示・掲示するなどしましたし、新年度の活動では週一回、定例会での「ビラ批評」(ビラの美点・欠点を言い合う)を続け、折に際しては、画像ソフトなどを用いてビラの模倣や制作も行う予定です。

 一方でビラは、様々な面で価値のある一次資料でもあります。第一に、社会的な事件はマスメディアとは別にビラの形で記録されることも多く、特に長期に亘って続けられた社会活動のビラは、デザインや言葉遣いを含めて、様々な面で時代を反映していると言えるでしょう。また、ビラの図像は今までも、ある時代を象徴するものとして捉えられてきました。江戸時代から明治にかけて撒かれたチラシは「引札」と呼ばれ、その特徴的な画風・質感から蒐集の対象となっています。戦時中にアメリカ軍が空から撒いたビラは、中国語における「ビラ」を語源とする「伝単」の名で呼ばれ、第二次世界大戦を体験した世代の多くが記憶するものとして歴史的価値を持っていますし、独特の字体で書かれた「ガリ版刷り」のビラは1960年代から70年代の学生運動を経験した人々に当時のことを思い起こさせるものです。
 このように、歴史的、あるいはジャーナリスティックな観点からビラを読み解くというのも、ビラを研究することの一つの方向性だと思います。大学では伝統的には、政治に関係して「学生自治」や「学生運動」というところに注目が集められてきたので、特にこのような分野の研究でビラから貢献できる部分は多くあります。実際、2012年の駒場祭では、東大教養学部学生自治会の「全学連脱退」のときに撒かれたビラを時系列に並べ、この事件の展開を追うという展示も行いました。(なおビラ研では、ガリ版やワープロ機といった、ビラを作るために用いられた機器も持っており、歴史的なビラの再現ということも可能かもしれません。)

 こうした活動をするための資料集めとして、ビラ研では、主に駒場キャンパスで撒かれたビラを収集しています。駒場キャンパスには「授業前になると教室の机の上に大量のビラが撒かれる」という独特の文化があるので、新歓以外でもネタは尽きませんし、興味深いビラが見られることと思います。また、現在撒かれているビラ以外にも、以前にビラを発行していたり集めていたりした団体からビラを譲り受けたり見せていただいたりすることで、歴史的なビラも豊富に手にすることができます。

 以上つらつらとビラ研について述べてきましたが、駒場のビラというのは駒場キャンパスにいてしか体験できないものです。もちろんビラ研に入らなくとも、駒場のビラというものに注意を向けてみればいろいろと面白いものを発見できるでしょうが、ここは一つ、面白い先輩の話でも聞いてみませんか?


小林 (教養学部3年)>





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